接骨院の領収書交付は義務?作成方法や注意点について徹底解説!
接骨院を開業した方、もしくはこれから開業予定の方で、「領収書を発行する必要はあるのか」「どのようにして領収書を発行したらよいのか」など、お困りの方はいませんか?
そこで当記事では、「接骨院の領収書交付は必須かどうか」「領収書の作成方法」についてご紹介します。最後に、領収書発行に関する注意点もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
接骨院の領収書交付は義務付けられている
保険施術や保険外施術(自費施術)を行なっている接骨院様で、患者様から施術費用を徴収する場合、領収書を交付する必要があります。
平成22年9月以降からは、厚生労働省からの通知により、柔道整復師の施術に係る療養費の一部負担金等の支払いを受ける際には「無償」で領収書を交付することが義務付けられました。
ここで注意してほしいのが、「無償」で発行しなければいけないという点。もし領収書発行分の費用を徴収してしまうと、違反となってしまうため気をつけましょう。
また領収書を発行する際には、「保険分合計及び一部負担金並びに保険外の金額の内訳が分かるものとする」と定められているため、保険外施術(自費施術)を行なった場合に、必ず内訳が分かるように記載しなければいけません。
領収書の詳しい様式や記入方法については、次項でご紹介します。
領収書の様式や作成方法をご紹介
「領収書の交付が必須」なことは分かりました。
ところが、初めて領収書の様式作りに取り組む際、「一体どんな項目を用意したら良いのか」「どのようなルールにしたがって記入したらよいのか」と困っていませんか?
そこで今度は、領収書の様式や記載の仕方、そして作成時のルールや、算定基準などの細かいルールについてご紹介します。
領収書に記載必須の項目と様式
まず、領収書に記載しなければいけない項目は、主に下記の通りです。
- 患者様の氏名
- 保険分費用合計
- 一部負担金
- 保険外施術(自費施術)金額
- 一部負担金と保険外施術金額(自費施術)の合計
- 徴収日
- 施術所の名前
- 施術所の住所
- 施術管理者の名前
- 施術管理者の印鑑
- 電話番号などの連絡先
上記は、厚生労働省で発行されている様式の項目となります。
原則として上記の項目が記載されているように領収書を作成しましょう。
領収書の作成方法とルール
領収書は原則、患者様が来院する度に毎回交付しなければいけません。くれぐれも、領収書を1ヶ月まとめて渡したり、渡し忘れることがないようにしましょう。
また前述したように、領収書を作成する際には「保険分合計及び一部負担金並びに保険外の金額の内訳が分かる」ように記載しなければいけません。
そのため、もし保険外施術(自費施術)を行なった場合は、何を行なったのか分かるように患者様に説明する必要もあります。
【例】合計徴収費用1,000円の場合。
内訳)保険分施術800円、保険外施術(自費施術)200円
この時に、保険外施術(自費施術)としていったいどのような施術を行ったのかを、患者様にしっかりと説明できるようにしておきましょう。
算定基準の変更に注意
領収書を発行する際には、療養費の算定基準に基づき保険施術の合計金額を算出する必要があります。
その算定基準が、令和2年6月1日から改訂され、下記表のように改訂前よりも改定後の方が全体的に金額が引き上げられました。
改訂前 |
改定後 |
|
初検時相談支援料 |
50円 |
100 円 |
整復料(骨折、脱臼) |
2,500 円~ 11,700 円 |
2,600 円~ 11,800 円 |
固定料(不全骨折) |
3,800 円~ 9,400 円 |
3,900 円~ 9,500 円 |
後療料(骨折) |
820 円 |
850 円 |
後療料(不全骨折、脱臼) |
690 円 |
720 円 |
一部負担金を算定する際には、この金額から割数によって決めていきます。
患者様から保険請求をする時は、厚生労働省保険局長が定めた金額以上を受け取ることが決まっているため、算定基準の変更に関して理解しておきましょう。
領収書発行時の注意点
領収書の様式や作成方法が分かったところで、最後に領収書発行時の注意点について下記3つのポイントをご紹介します。
- キャッシュレス決済で領収書を発行する場合
- 領収書の再発行を求められた場合
- 領収書の明細書を求められた場合
上記の細かい注意点を知らずに、間違いを起こさないように確認していきましょう。
キャッシュレス決済で領収書を発行する場合
近年、バーコード決済・クレジットカード決済・電子マネーなどのキャッシュレス決済が増えていますが、その場合も「現金と同じように領収書を交付する」必要があります。
キャッシュレス決済側の仕様として、支払い履歴が残るようになっているものもありますが、領収書とは同じ扱いになりません。
また支払い履歴の場合は、一部負担金や保険外施術(自費施術)といった区別がないため、領収書の情報として不十分です。
そのため、支払い履歴が残るからといって、「領収書を発行しない」など対応を間違わないように気をつけましょう。
領収書の再発行を求められた場合
結論からいいますと、基本的に『領収書の再発行は禁止』です。
患者様から「交付された領収書を紛失した」と、再発行のお願いをされる場合もありますが、経費の水増し・二重計上と悪用に繋がるため発行しないようにしましょう。
その代わりに、領収書ではなく「領収証明書(別名:支払証明証)」というものを発行できます。「領収証明書」とは、領収書と同じように一部負担金・保険外施術(自費施術)の合計金額などを記載するものです。
くれぐれも領収書として再発行しないように注意してください。
領収書の明細書を求められた場合
患者様によっては、領収書の明細書を求められる場合があります。明細書とは、保険施術を算定する際に用いられた算定項目が分かるようになっているものです。そのため、簡易的に金額が記載されている領収書よりも、もっと細かく内容が分かるようになっています。
明細書に記載する必要がある項目は下記を参考にしてください。
- 初検料・再検料
- 施術情報提供料
- 往療料
- 施術料(整復・固定・施療料・後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料)
- 一部負担金
- 保険外施術(自費施術)金額
- 一部負担金+保険外施術(自費施術)金額の合計金額
- 徴収日
- 患者様の名前
- 施術所の名前
- 施術所の住所
- 施術管理者の名前
- 施術管理者の印鑑
また、患者様から明細書を求められた際は発行を拒否しないようにし、明細書の発行費用を高額にしないなど、受け取りの妨げにならないようにしなければいけません。
まとめ
当記事では、接骨院様が領収書を発行する必要はあるのか、また作成方法や注意点についてご紹介してきました。最後に、覚えて頂きたいポイントを2つまとめます。
- 接骨院では領収書の発行が必須
- 厚生労働省で定められた項目に沿って領収書を発行すること
接骨院を開院したばかりの方、またこれから開院予定の方は、領収書の発行を怠らないよう注意しましょう。