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鍼灸院は保険請求が可能か?保険請求をするための方法や注意点を解説

医療機関や被保険者が立て替えた療養費を保険者に対して請求できる保険請求。鍼灸院の収益を大きく左右する重要なものであり、導入するしないでは大きな差が生まれます。

そんな保険請求ですが、本当に鍼灸院で導入できるのかお悩みではありませんか?

当記事では、「鍼灸院は保険請求が可能なのか」「保険請求をするための方法」「保険請求に関する注意点」の3つについて解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください。

鍼灸院でも保険請求は可能!可能な要件をおさらい

前提として鍼灸院の施術であっても保険請求は可能です。

しかし、鍼灸院で保険請求が可能となるのは、2 つの要件を満たしているかどうかが大切。ここでは、保険請求が可能となる2つの要件と、保険請求が認められない場合の注意点についてご紹介します。

保険診療の対象となる傷病である場合

1つ目の要件は「保険診療の対象となる傷病であること」です。鍼灸院の場合は、神経症・リウマチなどの症状が対象となり、その他にも複数対象となる症状があります。

肩こり・慢性的な腰の痛みなどは対象とならないため、適用対象となる症状を認識しておくことが大切です。詳しい症状については、後述いたします。

医師からの同意を得ている場合

2つ目の要件は「医師から施術の同意を得ていること」です。鍼灸は医業類似行為であり、医業ではありません。そのため保険診療を行うには、患者様の担当医が施術を行った上で、鍼灸による施術が必要だと判断し、施術の許可を貰う必要があります。

医師の許可なく保険診療を行う場合は認められないため注意しましょう。

併給は認められないため注意

保険診療を行う上で、医科診療(内科・外科・整形外科などの診療)との併給は認められていないということを認識しておきましょう。

併給とは、同一部位・同一症状に対して、医科からの請求と鍼灸(柔整)からの請求が同時に行われたことを言います。原則として、医科からの請求が優先されるため、鍼灸による施術費用は健康保険の取り扱いにはなりません。

ただしあくまでも同一部位・同一症状の対象疾患に対して治療を受けている場合です。同一でない場合は健康保険が適用となるため、正しく認識しておきましょう。

また、通院だけではなく、医師から薬・湿布が処方されている場合でも適用されないので、注意が必要です。

鍼灸院における保険診療とは?

鍼灸院では保険請求が可能であることを前提として、具体的な「保険診療の内容」「保険が適用される症状」「保険請求方法」について詳しく解説します。

保険診療とは保険が適用となる診療のこと

そもそも保険診療とは保険が適用となる診療のことで、医療機関や被保険者が費用を立て替えて、後で療養費を請求する制度のことを言います。

原則として、日本では国民健康保険または社会保険のいずれかに加入する義務があるため、国内に住むすべての人が医療保険制度の対象です。

そのため鍼灸院で保険診療を行う場合も、被保険者である患者様が支払うべき金額は1割〜3割となり、残りの7割〜9割は保険者が負担することになります。

しかし、この請求が可能となるのは保険診療が適用される症状のみとなり、全ての症状に保険診療を適用することはできません。

鍼灸院における保険診療が適用される症状

鍼灸院における保険診療が適用される症状には下記のようなものがあります。

  • 神経痛
  • リウマチ
  • 頸腕(けいわん)症候群
  • 五十肩
  • 腰痛症及び頸椎(けいつい)捻挫後遺症

上記のような、慢性的な疼痛を主症とする症状の場合に、保険適用となります。これらの症状以外の場合は、特別な理由がない限り保険適用の対象とならないため注意しましょう。

鍼灸院の保険請求方法は2つ

鍼灸院が保険請求するための方法は「償還払い」「受領委任払い」の2種類あります。

償還払とは

償還払とは、鍼灸院ではなく患者様自身で鍼灸院の保険診療にかかった費用を全額自己負担し、後で保険者に対して直接療養費を請求する方法です。

この場合、患者様自身が一時的に高額な療養費を負担しなければいけないため、経済的に不安定な方にとっては難しい方法です。

また、普段行わない保険者への請求も患者様自身で行わなければいけないため、患者様の負担が大きいでしょう。

受領委任払いとは

受領委任払いとは、被保険者である患者様に代わって、施術者が保険者に対して請求する方法です。

受領委任払いの場合、患者様が窓口で負担するのは療養費の1割から3割程度となり、非常に負担が少ない方法となります。また、患者様にとって煩わしい保険請求などの手間も省けるため、嬉しい方法です。

これまで鍼灸院における受領委任払いは、保険者ごとの判断で行われていましたが、厚生労働省からの通知によって、平成31年1月1日から正式に取り扱いできるようになりました。

そのため、鍼灸院で受領委任払いを取り入れるためには、地方厚生(支)局への申請をした後に、導入可能です。

これら保険請求に関わる導入準備や流れについては、次項で解説していきます。

鍼灸院が保険請求を行うための準備と流れ

実際に鍼灸院が保険請求を行うためには、どのような準備と流れが必要なのでしょうか?

ここでは、保険請求を導入するための準備フェーズから、実際に請求するまでの流れについて解説します。

開設して10日以内に保健所へ施設所開設届を提出

独立・開業によって新規で鍼灸院を開設した場合は、10日以内に保健所に対して「施術所開設届」を提出しなければいけません。その際に提出する必要のあるものは下記の通りです。

  • 施術開設届け
  • 業務に従事する施術者の免許証の写し(原本持参必須)
  • 平面図(各部屋の用途や背術質・待合室の寸法及びに面積。また外気開放面積と位置、換気装置の位置、器具・手指等の消毒設備の位置等を示したもの。)
  • 案内図(最寄りの公共交通機関等からの案内図)

※法人開設の場合は、定款と登記簿謄本も必要です。

※自治体により異なる場合もあるので、申請前にご相談するなどご確認ください。

実際に開設届が受理された場合は、施術所への立ち入り検査が行われ、問題がなければ副本が交付されて正式に開設となります。

地方厚生(支)局に必要書類を提出

施術所が開設届けを出したあとは、地方厚生(支)局に対して、受領委任払いによる保険請求をするための手続きを行わなければなりません。

その際に必要となる書類は下記の通りです。

  • 確約書
  • 療養費の受領委任の取扱いに係る申出(施術所の申し出)
  • 療養費の受領委任の取扱いに係る申出(同意書)
  • その他添付書類

その他の添付書類については下記の通りです。提出が該当する場合と該当しない場合があるため、自分のケースに合わせて書類を準備しましょう。

  • 施術所開設届・変更届・出張業務の開始届の写し
  • 免許証の写し(勤務する施術者を含む)
  • 施術管理者選任等証明(個人開設用)(個人開設で施術管理者と開設者が異なる場合)
  • 施術管理者選任等証明(法人開設用)
  • 勤務形態確認票(様式第2号の3)(複数管理・複数勤務の場合)
  • 住民票(施術管理者が出張専門施術者の場合)
  • 施術管理者研修修了証の写し(令和3年1月1日以降の申出に限る)
  • 実務経験期間証明書の写し(令和3年1月1日以降の申出に限る)

また自治体によって提出書類が異なる場合があるため、必ず自治体に相談及びWEBページを参考にするようにしてください。

また上記の書類提出により受領委任払いが承認されると、地方構成(市)局から、登録記録番号が付番されます。

付番された登録記録番号は、保険者に対して申告しなければいけないものなので、忘れないように確認しておきましょう。

医師から同意書をもらう

上記手続きを済ませたあとは、実際に保険診療をしてそれぞれの請求が可能となります。ただし、保険請求が適用となる保険診療を行うためには医師からの同意書を貰わなければなりません。

また、同意書の同意期間は6ヶ月間となり、この期間を超える場合は再度患者様が保険医の診察を受けて、医師からもう一度、同意書を貰う必要があります。

さらに6ヶ月を超える施術において保険請求を行う場合には、施術報告書も合わせて添付しなければいけないので認識しておきましょう。

領収書・レセプトを準備する

保険請求をするためには領収書とレセプトが必要となります。まず、保険請求の種類について「償還払い」と「受領委任払い」の2種類があるとお話しました。

「償還払い」の場合は、保険者に対して患者様が直接保険請求の手続きを行わなければいけないため、請求の際に領収書を提出する必要があります。

そのため、償還払いによる保険診療を行っている場合には、必ず患者様が全額自己負担したことを明記した領収書を発行し、施術日・領収印を押印しましょう。

一方、受領委任払いの場合は、患者様に代わって施術院が保険者に対して保険請求を行うため、レセプト(療養費支給申請書)を記入しなければいけません。

レセプトを記入する際には、患者様の保険証の内容が変わっていないかをチェックし、資格が喪失していないか、保険者が変わっていないかなどを確認する必要があります。

仮に保険者が同じであった場合でも、記号や番号が変わっているケースもあるため、注意が必要です。詳しいレセプトの書き方については、後述いたします。

共済組合・防衛省に請求する場合は異なるため注意

全国保険教会(協会けんぽ)・船員・日雇・組合・後期高齢の取り扱いは、地方厚生(市)局への提出で問題ありませんが、それ以外に請求先が異なるケースもあります。

例えば、国家公務員共済連盟の場合は共済組合連合へ請求をし、地方公務員の場合は地方公務員共済組合協議会へ請求します。また防衛省は防衛省に請求するなど、異なっているので注意しましょう。

その他、生活保護は福祉事務所へ請求する。労災は労働局へ請求するなど加入保険や区分によって違いがあります。

鍼灸院が保険請求を行う際の注意点

最後に鍼灸院が保険請求を行う際に気をつけて欲しい注意点について3つ紹介します。それぞれの決まりを守りながら、正しく保険請求を行いましょう。

レセプトの書き方やルールを順守すること

受領委任払いにおける保険請求の際にはレセプト(療養費支給申請書)を提出しなければいけません。各欄の書き方については、下記をご参考ください。

基本的にレセプトに記載する内容は共通ですが、書式は各自治体や保険者団体によって異なるため、確認しておきましょう。

被保険者欄

保険請求において被保険者本人の署名が必須となります。その際、患者様が被保険者とは限らず、ご家族の扶養に入っている場合もあるので、注意しましょう。

施術内容欄

患者様が保険医から同意を受けた小病名を選んで転記します。または、囲んで記入する形式でも構いません。該当がない場合には、その他欄を設けて傷病名を記入しましょう。また合わせて発症・負傷年月日も同意書に記載されているものを転記してください。

請求金額

請求金額については、合計金額から一部負担金を差し引いた金額で記入しましょう。また往診があった場合はその費用と距離についても明記します。もしも、施術所から訪問先まで距離が片道16kmの場合は往診を必要とする確かな理由がない場合を除いて認められないので注意しましょう。

施術証明欄

登録記録番号と施術管理者の氏名を記入しましょう。仮に施術管理者以外、または複数の施術者で施術した場合も施術管理者を記入するようにしてください。

申請欄

申請欄には、請求先となる保険者の宛名を記入しましょう。宛名は保険者機関の理事長や市長などに該当します。申請日については、月内すべての施術が終わった後に記入しましょう。

同意記録欄

患者様が初回診療で保険医からの同意書を添付し提出する場合は、同意記録欄の記入は必要ありません。二回目以降で、前月分より前に同意書の原本を添付し提出している場合は、同意書の内容を同意記録欄に記入しましょう。

摘要欄

各欄において、書ききれなかった事項がある場合摘要欄に記入しましょう。例えば、往診の際に16kmを超える場合は、施術が必要となる理由を記載しなければなりません。

その他、施術管理者以外に施術を行った場合でも、第一施術者・第二施術者のように氏名を記載した上で捺印が必要です。

保険請求は受理された日から可能

保険請求は「施術所開設届を提出した当日から」となります。また受領委任払いについては、「受領委任契約が受理された日から」取り扱い可能です。

その他、保険請求は締め日によって始められる日が異なるケースもあるので、期限を確認するようにしてください。

不正請求などの悪質行為はしないこと

近年鍼灸院及びに、接骨院・整体院などによる保険請求の受領委任払いを利用した、不正が相次いで引き起こされています。

このような不正請求が続いてしまうと、国は保険請求に関する規則やルールを厳しく取り締まらなければいけません。くれぐれも自分たちで業界の首を締めないように、日々誠実な保険請求を行うようにしましょう。

まとめ

鍼灸院でも保険請求が可能であることが分かりました。ただし、保険請求には「償還払い」と「受領委任払い」といった2種類の方法があり、それぞれの請求に対するルールがあります。

ルールを守らなければ、レセプトの返戻が行われて再請求対応をしなければいけなくなったり、そもそも保険が適用されなかったりなどトラブルの引き金となりかねません。

また制度を利用した不正が多発しルールが厳しくなることから、鍼灸師一人一人の誠実な対応が必要不可欠です。ぜひ、今回ご紹介した注意点を守りながら、保険請求を導入しましょう。

 

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