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歩行の動作分析は何を観察すべき?歩行の動作分析の基本をじっくり解説!

歩行の動作分析は何を観察すべき?歩行の動作分析の基本をじっくり解説!

施術やリハビリの目的・効果確認のために動作分析・歩行分析を行う治療院の先生や理学療法士の方は多いのではないでしょうか。

しかし、いざ実施しようと思うと「何をどのように観察したら良いのか」と悩んでしまうことも。本記事では、動作分析と運動分析の違いや「歩行」の分析はどのような方法があるのかについて詳しく説明していきます。

目次

1. 動作分析とは?

2.歩行動作のしくみ

3. 歩行の動作分析をする上で観察すべきこと

4. 歩行の動作分析方法

5. まとめ

1. 動作分析とは?

動作とは、仕事を分析する最小の単位と言われています。つまり動作分析とは、とある特定の作業をきめ細かく改善するために行われる分析手法なのです。

「見る」「置く」といった細分化された動作を、より効率的に行う方法を確立することを目的としています。激しい運動などではなく、移動が少ない座り作業や短いサイクルでの作業を改善する場合に有効です。

身体を上手く動かせない場合の状態・原因を分析すること

「身体が上手く動かせない」という状態は、生きている上で重大なストレスとなります。それはスポーツをする上での悩みかもしれませんし、日常生活が困難な程の悩みを抱えている人かもしれません。

人が日常生活や社会生活をストレスなく過ごす方法として、自宅だけでなく職場やお店などの様々な場所に適応する必要があります。そのためには、自身の日常生活での動作や基本動作などの合理的動作を時間的・空間的に制御することが必要です。

この時動作分析を行うことで、神経系や筋・骨格系などの病気やケガにより、動作の制御能力に障害がある患者さんが、どの動作において不備が発生しているのかを発見することができます。

どういう動作障害なのかを把握して因果関係を分析した後、介入計画とその実行を行い、その後、患者さんの無理のない範囲で、より動作の効率を上げる方法を提案することが可能です。

「動作分析」と「運動分析」のちがい

では、動作分析は運動分析とどのような違いがあるのでしょうか。

動作は先ほども説明したように仕事を分析する最小の単位です。人間が視認できる最小の人間の行動とも言えます。

動作分析は、そうした1つ1つの動作をきめ細かく改善するための分析です。一方「運動分析」は、「身体が時間の経過につれて、その空間的位置を変える動きを分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにする」ことです。運動が動作と違う部分は、「重心の移動を伴わない動き」であることです。理学療法において、特にリハビリを行う際にはこの運動の獲得をゴールにはしていません。

歩行の動作分析の目的

理学療法における動作分析の目的としては、日常生活動作(ADL)、基本動作の実践性とその障害特性を把握すること、対象者の生活環境、社会環境の中で必要となる行為を遂行するために必要な動作能力と現在の動作能力との差分を明らかにすること、などが挙げられます。

ADLとは、Activities of Daily Livingのことで、日常生活を送るために最低限必要な動作のことです。寝返り、起き上がりといった起居動作、トイレや椅子への移乗動作、歩行などの移動動作からなります。

つまり、歩行は日常生活の上で最低限できなければならない動作なのです。患者さんが日常生活をストレスなく送ることができるようになるため、歩行の動作分析を行う必要があります。

2.歩行動作のしくみ

歩行の動作分析を理解したところで、続いては歩行動作の仕組みについて見ていきましょう。歩行は私達の生活の上で欠かせない動作です。私達が自然に行っている「歩行」にはかなりの筋肉が使われており、詳細に動作分析をすることが必要になります。

そもそも「歩行動作」とは?

人は常に重力の影響を受けており、直立している時も体は前に倒れようとします。前に倒れないためには様々な筋肉を使用し、バランスを取らなければなりません。

歩行はその活動を緩めることで、体が前に倒れようとする反応を利用しています。バランスを崩し、再度体を支えるために筋肉が作動し、歩行動作となるのです。

また、歩行には周期があり、足裏で地面を踏み、身体を支える時期を立脚期と言い、足を待ちあげ前に振り出す時期を遊脚期と言います。一連の流れだけではなく、どの時期にどのような活動が行われているのかを整理して考える事によって、歩行動作をより分析することが可能です。

①踵接地期 (Loading response)

踵が床に着地する時、脚は体よりも前にあります。そのため、床反力も体の前で発生し、体は前に倒れようとするのですが、その力に対抗するように筋肉が体を支え、足首ではつま先を持ち上げる筋肉が作動します。

床反力とは、体と床の接している部分から生じている反力のことです。着目足が床に接地した瞬間を「初期接地」と言います。その時期から、反対足が床を離れるまでの間を荷重応答期と言い、踵が回転中心として足裏が徐々に床に接触していくのです。床反力は踵から立ち上がって、足関節の後方を通過します。正常歩行の場合は背屈筋を遠心性収縮させて、滑らかに前足部を床に接触させることが可能です。

②立脚中期 (Mid stance)

膝はやや屈曲した状態から伸展状態に戻り、足裏は床に全面接触して安定した基盤を作ります。この時上半身・下肢が一体となり、脚関節を回転中心として前方回転するのです。重心は最高点に到達し、骨盤は水平、体幹も鉛直位に保たれます。

この時床反力は、体が床に対して垂直になる時なので、かなり不安定な状態になります。そのため、重心の位置をコントロールするために、様々な筋肉を作動させ体を支えるのです。立脚中期の前半では、股関節伸展筋が活動し、身体全体を回転させ重心を上に押し上げます。反対側では、下肢を前方に振り出すために股関節の屈筋群の活動が発生しています。

③立脚後期 (Terminal stance)

後期になると、踵が浮き、回転中心が足関節から前足部に移動します。

体は前に移動し、床反力は体の後ろを通るのです。普通の歩行速度では、速度が上がりすぎないように抑制していると考えられています。この時、足のつま先を足の甲に曲げる動作が進むため、それに対抗するように地面を蹴りだす動作へと繋がるのです。この蹴りだしの強さによって、遊脚期のスイングが変化します。

④遊脚初期 (Initial swing)から遊脚中期 (Mid swing)

立脚後期で発生した前にかかる推進力により、太もものあたりが前方へ加速します。すると、股関節の筋肉が強く活動するため、膝が曲がりすぎないように太ももの筋肉をバランスよく働かせることが重要です。

この時期には着目足の床反力は減少し、反対足への荷重が増加します。そのまま反対足の床反力は後方に傾き、動力を働かせ、一方で着目足の床反力は前方に傾き、推進力を生みだすのです。そして、着目足が床を離れると、遊脚初期になります。

⑤遊脚中期 (Mid swing)から遊脚終期 (Terminal swing)

足がスイングし、身体の真ん中から前方へ移動すると、徐々に動きが穏やかになっていきます。この時、前方に足が行き過ぎてしまうとバランスを崩してしまうため、股関節の筋肉や膝の筋肉を動かし、衝撃の緩和が発生するのです。

そして最後の期間が遊脚終期になります。膝が伸展し、正常歩行の場合は膝関節屈筋群が遠心性収縮をして、膝が急激に伸展するのを食い止めます。この時期の終わりは初期接地の姿勢に戻り、歩行の一連の動作は終了です。

歩行の周期の説明は以上になります。それぞれの時期に何が起きるのか理解をしておくことで、患者さんの悩みを解消する歩行分析を行う事が可能です。

3. 歩行の動作分析をする上で観察すべきこと

歩行における動作分析を行う上では、どういう点に重きを置いて観察をすべきでしょうか。もちろん一定の基準のもとに観察を行うことも大切ですが、重要なのは患者さんが回復した後の動作を想定して観察することです。具体的にどのような点を観察すべきか、ご紹介します。

退院後の実生活における動作を想定した観察が重要

歩行動作に悩んでいる患者さんに対し、出来ることは一体何でしょうか。

患者さんが自分の目に見える範囲でのみ歩けるようになるだけでは、まだまだ動作分析が完了したとは言えません。いつか患者さんはリハビリや治療を終了し、自立歩行で日常生活や社会生活を送ることになります。

つまり、歩行動作の動作様式を確認しただけでは、どの程度安定して歩けるのか、速さはどうか、といった動作の全体像を把握することができないのです。

以下では、実際の日常生活や社会生活で必要になる歩行動作の要素「安定性」「協調性」「持久性」「速度性」「応用性」について解説していきます。

①安定性

安全に行う事ができる動作であったとしても、常に同じ動作ができなければ自立歩行が出来たとは言えません。歩行は常に何度も繰り返されますから、100回動作を行って100回同じことが出来ないといけないのです。

例えば、ある程度の速さで歩行ができていたとしても、時折転んだりよろけたりする様子が見られれば、安定性を欠いていると言えます。また、昼は歩行ができるが、夜に転倒が増える場合も、動作が安定しているとは言えません。

試行を繰り返すことで、安定しているか否かを分析する必要があります。静的な立位保持動作や動的な歩行動作におけるバランスの動揺の有無や程度で安定性を分析することが可能です。

②協調性(動作様式)

動作パターンの特性が指標となります。通常は運動における動きのスムーズさが評価の対象になりますが、歩行動作は四肢や体幹の相対的な位置関係や重力との関係を捉えなければなりません。

筋肉の異常な緊張、筋力の低下、脚の長さの差といった要因によって歩行動作の協調性に異常が認められた場合、出来る限り模式的に特徴抽出を行う必要があります。

なお、抽出を行う場合、ビデオや動作解析装置を用いた動作解析を併用することによって、動作分析の信頼性を高めることが可能です。

③持久性

疲労を感じ始めるまでの連続歩行距離や、歩行前後の心拍数の変化、血圧の変化、そして歩行終了時点での患者さんの主観的な運動強度が指標となります。

体力的に問題がある場合、階段の上り下りや長時間の歩行は難しく、自立歩行が困難と判断されることがあります。どれだけ安全に歩行することができていたとしても、10m程で歩行困難になれば、持久性があるとは言えません。

④速度性

動作においてある程度の速度を保つことはとても大切です。外出の際や交通機関の利用をする際に速度が不足していると、日常生活や社会生活を送ることは難しくなります。

よって、わずかな距離の歩行時間や、単位時間当たりの歩行距離を指標として捉え、分析を行うことが必要です。退院後は、患者さんだけで自宅周辺の横断歩道を渡ったり、定期的に通わなければならない外出先への所要時間を推定しなければならない状況が発生します。

⑤応用性

動作能力があると見なされていても、社会に受け容れてもらえる動作でなければなりません。

また、家屋内外の段差、自宅周辺の坂道、雨の日には水たまりができる悪路、公共交通機関の利用など、実生活への応用スキルが必要になります。そのスキルを取得することで、歩行動作の応用性が生まれ、退院後にケガをしたり病気になったりするリスクを抑えることが可能です。

5つのポイントを押さえて、動作分析を行おう

動作の実用性を要素別に把握することで、リハビリ担当者の目標設定や、患者さんの家族への指導がより具体的になっていきます。

患者さんがリハビリや通院を終えた後はリハビリ担当者がつきっきりでサポートすることはできません。家族や周囲の人々、そして患者さん自身が歩行の動作をより安定して行えるようにする必要があります。

それは環境を整えることかもしれませんし、本人の日頃の行動を改善することかもしれません。歩行の動作分析を学ぶ際は、上記5つのポイントは徹底して押さえてください。

4. 歩行の動作分析方法

では、歩行の動作分析方法にはどのようなものがあるのでしょうか。現在は技術が発展し、分析者のの主観的な意見だけではなく、システムを使用して客観的に患者さんの歩行の動作分析を行うことが出来るようになっています。

しかし、あまりに最先端な技術を使用した動作分析の場合、多くの病院では導入することが難しい場合もあるでしょう。今回は簡易的な方法から、より詳細に分析可能な方法までご紹介します。

 

①評価シート

観察的動作分析を行った場合、客観性、妥当性、検者間信頼性が低いため、科学的根拠にはなりにくいです。その際使用すべきなのが評価シートです。

歩行の動作分析を行う上で、評価シートは欠かせない存在です。分析担当者それぞれに主観的な見方があるため、先ほども言ったように観察や視認だけでは、曖昧な分析になってしまう可能性があります。そこで客観性を持たせるために便利なのが評価シートです。観察項目や評価基準を記載しておき、それに沿って分析を進めることで、担当者による分析項目や基準のバラつきをおさえることができます。

②ビデオ観察

基本的に動作分析は視診や触診などの観察による記録を用いて行います。しかし、この方法は主観的な要素に左右されてしまうため、この問題を解決する方法としてビデオ観察が用いられるのです。

次に紹介する3次元動作分析装置でも分析できるのですが、用意するために多額のコストがかかってしまうため、安価で購入できるビデオカメラが多く用いられています。

また、3次元動作分析装置は、環境の整備や準備にかなり時間がかかるため、臨床治療場面で用いる場合、かなり効率が悪いです。ビデオカメラであればスピーディに撮影した映像をパソコンに取り込み、解析ソフトウェアを用いて分析パラメータを容易に算出することができます。

③3 次元動作解析装置や床反力計などの動作分析機器

3次元動作分析装置とは、人や物体の動きを複数のカメラを使用して計測・分析する装置です。最近はモーションキャプチャー技術と言った方が聞きなじみがある人もいるかもしれません。

赤外線反射方式の三次元動作分析装置は、カメラにLEDが取り付けられており、そこから赤外光が照射されます。赤外光が当たると人に取り付けられた反射マーカが光り、その反射マーカの動きをコンピュータで捉えることが可能です。

反射マーカとは、表面にガラスビーズがコーティングされており、再帰反射という性質を持つ素材でできています。再帰反射は光がどのような方向から当たっても、光源に向かってそのまま反射するよう工夫された方法です。

床反力計は、人が動作をした時に発生する力を計測するものです。上下前後、そして左右に加わる力を計測することができます。

④アプリ

アプリを使用する場合の機器はスマートフォンやiPadといったタブレットが多いです。姿勢分析機器より操作性に優れており、時間を設けて操作訓練をする必要もありません。

また、AIを活用してデータを取得するため、対応する人が複数人いる場合でも、客観性・妥当性のあるデータを取得することができます。つまり、経験に乏しい理学療法士でもベテランの理学療法士が利用した場合と同じデータを取得することができるのです。

例えば、「シセイカルテ」には、AIを活用した歩行分析機能も搭載しています。顧客情報や施術内容を紐づけし、施術の効果を患者さんに分かりやすく説明することが可能です。

また、電子カルテ機能や姿勢分析機能も搭載しており、施術者・トレーナーの皆さまの「カルテ情報との管理が面倒」「動画のみではポイントが分かりにくい」といったお悩みも解決できます。

顧客情報と紐づけをして動画を保存するため、検索も容易になりますし、AIを活用することでお客さまにも視覚的に「今、何が問題なのか」「どう改善していくべきか」を理解してもらいやすくなるのです。

5. まとめ

動作分析や歩行分析について説明しました。評価シートやビデオ観察など、様々な分析方法がある中で、最近ではAIを活用した歩行分析アプリを活用する人も増えています。

高齢化社会になる現代の日本において、加齢によって歩行困難になる人口は増加しつつあります。より良い歩行分析を行うためにも、分析方法について今一度考え直してみてはいかがでしょうか。

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